『子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』の田島列島作品の魅力を考察

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こんにちは、主婦ブロガーmyme(マイミー)です。

2014年に講談社モーニングに掲載された漫画『子供はわかってあげない』で鮮烈な連載デビューを果たした漫画家・田島列島氏。

5年の時を経て2019年、新作の『水は海に向かって流れる』の連載が別冊少年マガジンで始まりました。

2019年12月11日に発表された宝島社主催の「このマンガがすごい!2020」ではオトコ編の第5位にランクインし、早くも注目が集まっています。

本記事では、寡作にして名作を生みだし続ける田島列島氏の漫画がなぜこんなにも魅力的なのかを、一ファンの目線で考察していきます…!

※本記事は作品のネタバレを含む内容となっております。 
※連載作品『子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』に関する解説記事となっております。

大人に振り回される、健気でひたむきで複雑な子供の心情を描く

『子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』の2作品に共通している物語の構成の特徴は…

周りの大人(主に親)が原因で複雑な環境に置かれている子ども(高校生)の主人公が自分にできることを子供ながらに試行錯誤してなんとかしようとする

という構成です。

『子供はわかってあげない』の主人公・朔田さんは、幼少期に両親が離婚し、生き別れになった実の父がとある新興宗教の教祖にして教団のお金を持ち逃げした疑惑をかけられている、というまぁ大変な設定です。

『水は海に向かって流れる』の主人公・直達くんは、高校入学と同時におじさんの家に居候することになりましたが、その下宿先には、父の元不倫相手の娘さんが住んでいて、色々な罪悪感やら複雑な感情に振り回されるわけです。

2人の主人公とも、今置かれている複雑な環境が、全くもって自分のせいではないのに、親を責め立てることもせず、健気にまっすぐに向き合い、なんとかしようとします。

ただ健気なわけではありません。

親を肉親だからって過剰にかばったりすることもしません。

でもやっぱり肉親だから、親だから、「きっと何かワケがあったのだろう」という心の声が聞こえてくるような、親に対しての期待や見捨てられたくない気持ちが見え隠れする。

誰しも、大なり小なり、「親に期待に応えたい」と思ったことはあるのではないだろうか?

そんな普遍的なテーマを、健気でひたむきで複雑な10代の子供の心情を独特のコミカルな作風で淡々とテンポよく描く

セリフのセンスも抜群です。

魅力がないわけがないのだ。

『子供はわかってあげない』1話試し読み(講談社コミックプラス)

kc.kodansha.co.jp

キャラクターがみんな“ちゃんと人間”である

よく、面白い漫画って、「キャラが立っている」とか「キャラが個性的」とか、いわゆるちょっと変わり者でクラスにいたら浮いてしまうような個性的なキャラクターが出てくる作品が多いイメージがあります。
(もちろん少年誌・青年誌・少女誌等で差はあれど)

個性的なキャラクターはそれだけでインパクトがあるしパワーがあるので、物語を引っ張ってくれて盛り上げてくれるありがたい存在だです。

だけど、田島列島作品はちょっと違います。

主人公格の少年少女は至って普通の高校生で、クラスでも飛びぬけて人気者だったり、浮いていたりしていることはありません。

『子供はわかってあげない』の朔田さんの実父も、新興宗教の教祖様という一見突拍子もないキャラクターなのだけど、お金の持ち逃げ疑惑の真相を探るといたって人間臭い一面が明らかになったし、ちょっと変わってるけど普通の娘想いなおじさんでした。

その他、たびたび出てくる、一見「この人ちょっとヤバい人なのか⁉」というキャラクターは話してみると案外人間的で、的を射ている良いことを言ったりする。

なんだろう、上手く表現できないけれど、みんなちゃんと人間なんです。

こういう状況で人ってこういう感情を抱くよな…というものに違和感が一切なく描かれるので、「あぁ!こういう人いるなぁ」であったり、「私もこの状況だったらこう思うな」といった共感が生まれやすい。

以前インタビュー記事で田島列島氏が話していた、「“こいつはコレをやらないだろう”ということを考えながら進めていく感じ」という一文を見て、深く納得。

konomanga.jp

キャラがみんな血の通った人間として描かれているので、フィクションの漫画であるはずなのに、そこに本当にその世界があるかのような臨場感が凄まじいのです。

甘酸っぱい爽やかな恋愛模様

前述の通り、田島列島作品は、父が新興宗教の教祖だったり過去に不倫をしていたりと、何かとヘビーな題材を扱っています。

そんな空気に爽やかな風を吹かせるのが、主人公たちの恋愛模様。

主人公たちは高校生なのでやはり自然な流れで恋愛をします。

ただし、少女漫画や少年漫画の学園ラブコメにあるような一目ぼれだったり、運命の出会いで突然好きになるとかではなく、お互いがお互いに関わる上でじわじわと好きになる過程を淡々と描きます。

最初はただのクラスメイト、ひょんな出会いからだんだんと意識し始めて、あれ?気がついたら好きになってた。

田島列島氏は女性作家なので、やはり恋愛模様を含むシーンにおいての心理描写が細かく、リアルな甘酸っぱさを描くのが大変お上手です。

『子供はわかってあげない』下巻の朔田さん門司くんの屋上でのシーンなんて漫画史に残る名告白シーンなのではないでしょうか。

私は数ある少女漫画を読んできましたが、あんなに胸がキュンとしたシーンを見たのは初めてです。
それもやはりキャラクターの人間的なリアルさから来るものだと考えます。

『水は海に向かって流れる』は2019年12月現在単行本2巻まで刊行されており、主人公・直達くんの恋愛感情に関してはまだぼんやりとしています。
今後、直達くん・榊さん・泉谷さんで三角関係になるのでしょうね…

展開を妄想しただけでもニヤニヤしてしまいますね。

『水は海に向かって流れる』1話試し読み(講談社・マガジンポケット)

pocket.shonenmagazine.com

田島列島作品 単行本・電子書籍サイトの紹介

単行本

『子供はわかってあげない』上巻

『子供はわかってあげない』下巻

『水は海に向かって流れる』』1巻

『水は海に向かって流れる』』2巻

電子書籍サイト

ebookjapan(電子書籍ダウンロード)

電子貸本Renta!

 

『子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』の漫画家・田島列島氏の作品の魅力を紹介しました。

田島列島作品の購読を迷っている方、魅力を知りたいという方などの参考になれば幸いです。